餞別を贈るシーンで多く挙げられるのが退職です。お世話になった方への餞別は、どのようなものがふさわしいのでしょうか。
今回は、退職される方を対象とした餞別の相場やマナーについてご紹介します。
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目次
餞別とは?
餞別(せんべつ)とは、離れる方へ別れのしるしとして贈る金品のことをいいます。餞別を渡す機会として多く挙げられるのが、会社の人が転勤や退職をする際です。他には転居や旅行、留学なども餞別を渡すタイミングとして挙げられます。
餞別は、「はなむけ」ともいわれます。
はなむけとは、“馬の鼻向け”という言葉の略で、旅立つ人の馬の鼻を行くべき方へ向けて見送った習慣から誕生した言葉だそうです。旅立ちや門出に贈る金品や詩歌という意味があります。
餞別のプレゼントを贈るタイミング
一般的なタイミング
餞別のプレゼントを渡すタイミングは、退職が正式に決まってから、もしくは辞令が出て1〜2週間以内が一般的です。
退職がはっきりする前に渡すと、相手に「早く辞めてほしいんだな」と解釈されてしまいかねないので、注意しましょう。
また、会社や部署で機会を設けて渡すことがほとんどですが、そうでない場合は落ち着いた頃に時間を作ってもらい、個人的に渡すことも可能です。
職場で直接渡す場合
退職日当日は、退職する方の手荷物を増やすことになるかもしれないので、なるべく避けたほうがよいでしょう。
また、事情により職場で餞別のプレゼントを直接渡さなければならないこともあります。
みんなのいる前で渡してしまうと、餞別を用意していない方たちに気まずい思いをさせてしまうので、注意が必要です。
最後に会う日の夕方や帰り道など、仕事終わりに渡して、今までの感謝を伝えましょう。
送別会で渡す場合
餞別のプレゼントを送別会で渡す場合は、食事がひと段落したタイミングを見計らって渡しましょう。
お酒が進むと、プレゼントを渡すタイミングを逃してしまう可能性があるためです。
また、職場の全員でプレゼントを用意している場合は、送別会で個人的な贈りものをするのは避け、別の機会を設けて渡すようにしてください。
自宅に送る場合
自宅に送る場合、退職や引っ越しをした1~2週間以内にのしをつけて送ります。退職祝いに記す表書きは「御礼」、水引は紅白の「蝶結び」を選ぶのが一般的です。
郵送する際は、直接手渡しできない無礼を詫びる手紙を同封し、相手を不快にさせないような心遣いを大切にしましょう。
餞別の相場
退職する方の立場によって変わりますが、餞別の金額は3,000~5,000円が相場とされています。複数で行う場合は、一人あたり1,000~3,000円程度を目安にすると良いでしょう。
また、部署や親しい方たちで送別会を開き、それを餞別とすることも多いようです。
餞別はお礼をするという習慣がないため、高価なものを贈って相手に気を遣わせないよう気を付けましょう。
餞別で渡すギフトの選び方
餞別にふさわしいギフトの種類は、相手の性別や年齢、関係性によって変わってきます。
ここでは、ギフトの選び方を相手の属性別に見ていきましょう。
男性へのギフト
まずは男性へのギフトについて解説します。
<定年退職する場合>
定年退職であれば、第二の人生を楽しむための旅行券や趣味に使えるギフト券がおすすめです。趣味がある人の場合、これから趣味を楽しむ時間が増えるので関連するものを贈るのもよいでしょう。
ただし、物によってはこだわりを持っている人もいるので、事前によく調べておくことをおすすめします。
<転職する場合>
転職であれば、新しい職場で使えるビジネス関連で使えるものがおすすめです。名刺入れやペンケース、文具類以外にも、仕事の合間にリラックスできるようなコーヒー、紅茶も人気があります。文具類を贈る際は高級感があるものや、特別感のある名入れアイテムなどを贈るとよいでしょう。
<親しい関係の人に贈る場合>
血縁関係者や友人など親しい関係にある人は、日頃の会話から相手の好みや趣味、必要としているものについて知る機会も多いでしょう。親しい関係の人には感謝の気持ちを込めて、相手の好みから選ぶことをおすすめします。相手によっては一緒に楽しめるようなものを選ぶのもよいでしょう。
女性へのギフト
続いて、女性へのギフトについて紹介します。
<定年退職する場合>
定年退職をむかえる女性は、癒しやケアができるようなアイテムが人気です。美容系のアイテムやバスグッズが人気です。相手の好みがわからない場合は、使い心地のよい高級なタオルは相手を選ばず贈りやすいでしょう。
<転職する場合>
転職の餞別は、新天地での活躍を応援する気持ちを込めて、新しい職場でも使えるビジネス関係のものが人気です。特に高級感のある文具類、名刺入れ、ペンケースなどは人気があります。また、仕事の合間にリラックスできるようなコーヒーや小分けされている菓子類などもおすすめです。菓子類を選ぶ際は、賞味期限が長く、常温で保存できるものがよいでしょう。
<寿退社する場合>
寿退社する女性への餞別には、新生活に使えるものを贈りましょう。夫婦2人で使えるペアグラスや揃いの食器類、カトラリーがおすすめです。好みがわからず選びにくい場合は、夫婦で一緒に食べられるグルメ系ギフトも人気があります。特別感のあるブランド牛や華やかな見た目のスイーツなどは誰からも喜ばれやすいでしょう。
<妊娠・出産の場合>
妊娠や出産で退職する場合は、実際に生まれるまで赤ちゃんに関わるものを贈るのは万が一のことを考えて避けるほうがよいとされています。そのため、赤ちゃんではなくお母さん側を労われるようなグッズがおすすめです。最近では妊婦も飲めるコーヒー・紅茶の人気があります。また、体のケアができるようなマッサージグッズ、リラックスアイテムも定番です。
<親しい関係の人に贈る場合>
血縁関係者や友人など親しい相手に餞別を贈る場合、相手が喜んでくれそうなものや好みに合いそうなものを選びましょう。親しい相手であれば、好みがわからないと贈りにくいようなリップなどの化粧品もおすすめです。また、一緒に過ごす時間に使えるような趣味のものなども喜ばれます。
餞別のプレゼントにふさわしくない品物
下着や肌着
一般的に、下着や肌着は「生活に困窮している方への贈りもの」というイメージがあります。
そのため、退職する方への餞別として下着や肌着はふさわしくありません。
靴、スリッパ、マット
靴やスリッパ、マットは日常でよく使うものなので、一見すると喜ばれそうな品物です。
しかし実際は、「相手を踏み台にする、見下している」という意味を連想させてしまうので、餞別のプレゼントには向いていません。
特に、目上の方には渡さないよう注意しましょう。
ハンカチ
ハンカチは贈りものの定番ですが、実は餞別のプレゼントにふさわしくありません。
漢字で「手巾(てぎれ)」と書くハンカチは、その発音から「手切れ」を連想させます。そのため、退職する方に「辞めたら縁を切る」という意味に解釈されてしまいかねません。
退職後も関係が続く方には、餞別のプレゼントとしてハンカチを渡さないようにしましょう。
櫛
櫛(くし)は女性に喜ばれそうなプレゼントですが、発音が「苦」や「死」を連想させるため、リクエストがない限り、贈るのは控えましょう。
櫛以外にも「く」と「し」、「九」と「四」の文字が入る品物は、基本的に餞別のプレゼントとしてふさわしくありません。
お茶
お茶は「香典返し」や「お悔やみの場」で使用されることが多いので、餞別のプレゼントに選ばないほうが無難です。
また、紅茶やハーブティーは人によって好みが分かれるので、贈る前に相手の嗜好(しこう)をしっかり調べておくことをおすすめします。
「せっかくもらったのにハーブティーが苦手で飲めない」と相手に気を遣わせないためにも、お茶以外のプレゼントを検討するのがよいでしょう。
文房具
高級ボールペンや名入れの万年筆といった贈りものは、働き盛りの方には喜ばれるかもしれません。
しかし、文房具には「これからも勤勉に」という意味が込められているため、目上の方や定年退職する方にプレゼントすると失礼な印象を与えてしまいます。
できれば、餞別のプレゼントで文房具を贈るのは控えましょう。
ビジネスグッズ
退職する方が後輩や部下であれば、かばんや時計といったビジネスグッズを餞別としてプレゼントすると喜ばれるでしょう。
しかし、定年退職する方の場合、「もっと働け」と解釈される可能性があるので、避けるのをおすすめします。
基本的に目上の方へは、餞別のプレゼントとして仕事を連想させるグッズを贈らないよう覚えておきましょう。
現金
現金は「生活の足しにしてください」という解釈をされる可能性があり、あらゆるお祝い事においても目上の方へ「現金」を贈ることはタブーとされることが多いので注意が必要です。
昔に比べるとそれほど厳しい目で見るという方は少なくなってきていますが、上司の方などの退職の餞別に現金を贈ることは失礼となることがあるため、控えておいた方がよいでしょう。
刃物や割れもの
刃物は「縁を切る」、割れものは「関係性が壊れる」という意味を連想させるため、餞別のプレゼントに選ぶのはおすすめできません。
包丁や陶器の器などをリクエストされた場合は例外ですが、基本的に餞別のプレゼントとして刃物や割れものを贈らないようにしましょう。
のし袋の表書きや水引
贈り物や現金を渡す際は、包み紙や袋に「のし」を添えるのがマナーです。
また、のしを添えた『のし袋』には、「表書き」を書いたり「水引」をかけたりなど、さまざまなしきたりがあります。
のし袋
結婚式などのお祝い事や葬儀などの際に、金銭・品物を包むための袋のことをいいます。
水引
水引とは、贈り物の包み紙や封筒などにかける紅白や白黒の帯紐のことを指します。
表書き
表書きとは、慶事や弔事で渡す祝儀袋や不祝儀袋に書く文字のことです。
表書きの基本的な書き方は、上段中央に「御祝」や「御礼」など目的に合った言葉を記載します。下段中央に贈る側の名前を書きますが、上段の文字と比べて小さめに書くことがポイントです。
表書き・水引のポイント
お世話になった方への退職祝いには、のし袋の表書きや水引はどのようなものが適切なのでしょうか。
退職には定年や出産、独立など、人によって理由はさまざまです。
表書きや水引は、その退職理由にあったふさわしいものを選びましょう。
表書きは「御礼」がベター
表書きは、御礼・祝定年御退職・感謝・謹呈などいろいろな種類があります。
この中で退職理由のすべてに当てはまるのが「御礼」です。
「御餞別」という表書きがありますが、目上の方に渡す場合は失礼に当たるので避けましょう。
「御祝」は退職理由によってはふさわしくない
「御祝」も良いように感じますが、退職理由によっては不適切な場合があります。定年退職であれば、御祝でも問題ありません。
しかし、中途退職などの場合はうれしい退職理由ではないことも。
退職理由が不明瞭な際は、御礼や感謝などねぎらいの言葉を選びましょう。
転職や独立には「おはなむけ」も
「はなむけ」とは、旅立つ人の安全を祈る意味を持ちます。
ステップアップとなる転職や独立などによる退職理由であれば、勧奨の気持ちを込めて「おはなむけ」を使用するのも良いでしょう。
水引は紅白の「蝶結び」が基本
水引は大きく分けて【蝶結び・あわじ結び・結びきり】の3種類があります。
退職祝いの場合、何度合っても喜ばしいとされる御祝につける紅白の蝶結びが一般的です。
結婚退職は「あわじ結び」「結びきり」
退職理由が結婚の場合は、あわじ結び・結びきりの水引を選びましょう。
この2つは一度結ぶとほどくのが難しい結び方です。
そのため、結婚祝いの結びきりには「結婚が人生に一度きりでありますように」という願いが込められています。
また、両端を引っ張るとさらに強く結ばれることから、「末永く付き合う」という意味もあります。
定年退職は「蝶結び」
定年退職は人生で一度きりのことですが、水引は蝶結びで問題ありません。
定年退職は新たな人生のスタートとして考え、退職後の人生を応援するという意味が込められているからです。
餞別のお返しについて
ここでは、餞別をもらった場合のお返しのマナーについて見ていきましょう。
餞別のお返しは必要?
基本的に、餞別は「相手との別れ」を前提としているためお返しは不要です。
お礼を伝えたいだけであれば、後日手紙を送るだけでも十分気持ちは伝わります。しかし、お返しをしてはいけないという訳ではありません。どうしても何か贈りたい場合はかえって失礼にならないよう、相手に気を遣わせない程度の品物を選びましょう。
ただし渡したほうがいいケースもある
餞別の中には返礼を行うほうがよいとされるケースもあります。判断基準は、今後の付き合い方です。
転職や異動はするけれど相手とは今後も顔を合わせる機会がある場合など、餞別を受け取った後も交流が続く場合は、感謝の気持ちを込めてお返しを贈るほうが今後も円滑な関係が続きます。
餞別のお返しの相場
餞別でお返しを贈る場合、いただいた品の3分の1から半分程度が相場とされています。あまり高額な品物をお返しすると、相手に気を遣わせてしまったり失礼に感じられたりする可能性があるため、金額には注意しましょう。
餞別のお返しはいつ渡す?
餞別のお返しは、餞別を受け取ってから1カ月以内に贈るのが目安です。ただし、早過ぎる時期に贈ってしまうと、事前に用意しておいたような印象を与えてしまいます。相手のことを考えてお返しをしたと思ってもらうためにも、1週間ほど空けるとよいでしょう。
お返しの渡し方
お返しはのし紙を付けると、より丁寧な印象になります。転職や退職は「人生の門出」というおめでたい意味があるため、水引は蝶結びを選びましょう。
表書きには「御礼」、その下には「自分の名前」を記入します。
メッセージカードを添えることで気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
今までの感謝やお疲れ様でしたという気持ちを込めて
上司や先輩、同僚など仕事を共にした仲間を見送るとき、今までの感謝やお疲れ様でしたという気持ちを込めて、特別な贈り物を渡したいものです。しかし、相手によって退職理由はさまざまで、ギフト選びに悩んでしまうこともあるでしょう。
そんなときにピッタリのギフトがQUOカードです。
お世話になった方への感謝のしるしとしてはもちろんのこと、相手にとっても使用シーンを選ばないため大変喜ばれます。
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公開日:2019月9月4日
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