新規事業の立ち上げや既存サービスの改善には、顧客が本当に何を求めているかを深く理解することが不可欠です。
しかし、顧客の本音は、アンケートのような表面的な調査だけではなかなか見えてきません。
そこで力を発揮するのが、デプスインタビューです。

この記事では、クオカードメディア編集部のTが、デプスインタビューの基本から、なぜこの手法が今必要とされているのか、そして成功させるための具体的なステップや注意点まで、詳しくない方にもわかりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、デプスインタビューが単なる調査手法のひとつではなく、ビジネスを成長させるための強力なツールであることが理解できるでしょう。

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デプスインタビューの基本を理解する

はじめに、デプスインタビューの定義など、デプスインタビューの基礎知識をわかりやすく解説します。

関連記事:【初心者向け】インタビュー調査とは?メリットやデメリット・やり方を徹底解説



まず押さえたい基本用語【初心者用ミニ辞書】

インタビュイー: インタビューを受ける人。調査の対象となる人です。

インタビュアー: インタビューを行う人。質問を投げかけ、対話をリードする役割を担います。インタビュイーから本音を引き出すための高度なスキルが求められます。

リクルーティング: 調査の目的に合ったインタビュイーを探し、参加を依頼すること。製品やサービスのターゲット層に合致した人を正確に集めることが、インタビューの成果を左右する重要なステップです。



デプスインタビューとは?

デプスインタビューとは、インタビュアーがインタビュイーと一対一で行う深掘りインタビューのことです。
事前に用意した質問項目に沿って進めますが、形式ばった質疑応答ではなく、まるで会話をするかのように進めていくのが特徴です。
インタビュイーとの間に信頼関係を築くことで、普段は言葉にされない感情や無意識の動機を引き出すことを目的としています。

定性調査(Qualitative Research)の一種

調査には、大きく分けて定量調査と定性調査の2つがあります。

定量調査: アンケート調査のように、数値で計測できるデータを集める調査手法です。「はい」「いいえ」といった回答や、選択肢の中から選んでもらうことで、「何人がそう思っているか」「どのくらいの割合か」といった量的な傾向を把握できます。

定性調査: デプスインタビューやグループインタビューのように、数値化できない言葉や行動、感情、思考などのデータを集める調査手法です。「なぜそう思うのか」「どのような時にそう感じるのか」といった質的な側面を深く理解することを目的とします。

デプスインタビューは、この定性調査の代表的な手法のひとつであり、顧客の「Why(なぜ)」を明らかにすることに特化した調査手法です。



グループインタビューやアンケートとの違い

デプスインタビューは、他の代表的な調査手法と明確に違いがあります。
デプスインタビューとその他調査方法、それぞれの特徴を理解することで、どの手法が自社の目的に最適か判断できるようになります。

グループでは出にくい「個」の本音を引き出せる

グループインタビューは、複数の参加者(5〜6人程度)で座談会形式で行う定性調査です。
参加者同士の意見交換や議論を通じて、新しいアイデアや多様な意見を引き出すことができるメリットがあります。
しかし、その一方で、「周りの人にどう思われるか気になる」「他の人の意見に流されてしまう」といった同調圧力が働き、個人の本当の意見や考えを言いにくくなるケースもあります。
一方、デプスインタビューはインタビュアーとインタビュイーの一対一で行うため、そうした外部からの影響を排除できます。
インタビュイーは安心して自分の考えや感情を率直に話すことができ、より深い「個」の本音に迫ることができます。

アンケートでは見えない「Why」がわかる

アンケート調査は、多人数から効率的に定量データを収集できる強力なツールです。
例えば「商品Aの満足度は?(非常に満足、満足、普通、不満、非常に不満)」といった質問を通じて、多数派の意見や全体的な傾向を素早く把握できます。
とはいえ、アンケートだけでは「なぜ『非常に満足』と回答したのか?」「どんな時に『不満』だと感じたのか?」といった、その回答に至った理由や背景まではわかりません。
デプスインタビューは、このアンケート調査では見えにくい「Why」を明らかにするための補完的な役割を担います。
アンケートで得られた定量データと、デプスインタビューで得られた定性データを組み合わせることで、「何がどれくらい」と「なぜそうなのか」の両方を深く理解し、より精度の高い意思決定が可能になります。



デプスインタビューはなぜ必要か?

デプスインタビューは事実多くの企業や組織で重要視されており、そこには明確な理由があります。
それは、顧客の行動や選択の裏にある「本音」や「深層心理」を解き明かす鍵となるからです。
ここでは、マーケティングにおいて顧客の本音がどれほど重要か、そしてデプスインタビューが注目される背景について掘り下げていきます。



マーケティングでは「顧客の本音」が重要

製品やサービスを成功させるためには、顧客が何を求めているのかを正確に理解することが不可欠です。
しかし、この「顧客が求めているもの」を把握するのは簡単なことではありません。

顧客は必ずしも本音を直接語らない

人は、自分の行動や考えについて、必ずしも論理的かつ正直に語るわけではありません。

例えば、ある製品を購入した理由を尋ねると、「機能が優れていたから」「価格が手頃だったから」といった表面的な理由を答えることが多いでしょう。
しかし、その奥には「友人が持っていてうらやましかった」「この製品を使うことで、自分は〇〇な人間だと思われたい」といった、本人も気づいていない、あるいは言葉にしたくないような感情的な動機が隠されていることがあります。
デプスインタビューでは、このような表面的な回答のさらに奥にある、本当の動機を探り出すことができます。
質問を重ね、共感を示すことで、インタビュイーは「なぜそう思ったのか」を深く掘り下げて考えるようになり、その過程で無意識の本音が見えてくるのです。

顕在ニーズと潜在ニーズの違い

顧客のニーズには、大きく分けて顕在ニーズと潜在ニーズの2つがあります。

顕在ニーズ: 顧客自身が自覚しており、言葉にできるニーズです。「もっと安くて、充電が長持ちするスマートフォンが欲しい」といった、具体的な要求がこれにあたります。アンケート調査でも把握しやすいニーズです。

潜在ニーズ: 顧客自身がまだ気づいていない、あるいは漠然としか感じていないニーズです。言葉にするのが難しく、アンケートでは捉えられません。たとえば、「オンラインでパートナーを探しているけれど、プロフィールだけで判断するのが難しく、価値観の合う人と出会いたい」という漠然とした思いがあったとします。これは「相性の良い相手と出会いたい」という潜在ニーズです。

このうち潜在ニーズを探り当てるのに、デプスインタビューは最適な手法です。
一対一の対話を通じて、インタビュイーが抱える不満や課題を丁寧に聞き出すことで、本人すら気づいていなかった「本当に求めていること」を発見する手がかりを得られます。
そして、その潜在ニーズこそが、革新的な製品やサービスのヒントになることが多いのです。

顧客体験(CX)重視の時代

現代のビジネスにおけるサービスの提供は、単に良い製品やサービスを提供するだけで終わりません。
顧客が製品やサービスを通じて得られる「体験」そのものが重要視されています。

例えば、家電製品を考えてみましょう。
かつては「いかに高性能で多機能か」が価値の基準でした。
しかし今は違います。
「購入から開梱、初期設定、日常的な使用、そして故障時のサポートまで、一連のプロセスでどれだけストレスなく、快適に使えるか」といった顧客体験(CX)がサービスの評価を左右します。

このCXを向上させるためには、顧客の行動や感情の機微を深く理解することが不可欠です。
アンケートのような定量データだけでは、顧客がどのような感情で、どのようなプロセスを経てサービスを利用したのか理解できません。
そして顧客が、最終的にどう感じたのか?といった一連の流れを把握することはさらに困難です。
デプスインタビューは、このストーリーを個別に深く掘り下げることで、CX改善の具体的なヒントを与えてくれます。

 他の調査手法では届かない「深層心理」

心理学の分野では、人間の購買行動の多くは、論理的な思考ではなく、無意識的な感情や衝動によって決定されると言われています。

例えば、サブスクリプション型のオンライン学習サービスを契約する際、多くの人はまず料金やコース内容を比較します。
しかし、ユーザーが最終的に特定のサービスを選ぶ決め手となるのは、「このサービスなら自分のペースで続けられそう」「有名な講師の授業を受けて、自己成長している自分を実感したい」といった、言語化しにくい「深層心理」に基づいていることがほとんどです。
デプスインタビューは、こうした深層心理に最も近づける調査手法です。
インタビュアーとの信頼関係を築くことで、普段は話さないような個人的な感情や、漠然とした不安、憧れなどを引き出せます。
これらの情報は、単なる機能改善にとどまらない、より本質的なサービス設計やブランド構築に役立てることができるはずです。



本音を引き出すデプスインタビューのコツ

前述したように、デプスインタビューでは、一対一の対話を通じて、インタビュイーの本音を引き出すことが重要です。インタビュイーの本音を引き出すには、インタビュアー側もコツを掴んでおく必要があります。



初対面でも安心感を与える話法

インタビュアーは、初対面でも相手が安心して話せるよう、共感的かつ受容的な態度で臨むことが重要です。
まずはアイスブレイクとして、趣味や最近の出来事など、簡単な雑談から始めることで、緊張をほぐすことができます。
たとえば、「〇〇さんは最近、どのような時にストレスを感じますか?」といった、相手の感情に寄り添う質問を投げかけ、共感を示すことで、「この人には話しても大丈夫だ」という安心感を醸成できます。
心理学の専門家も、人は相手に受け入れられていると感じた時に、心の内を話しやすくなると指摘しています。



相手を追い詰めない質問テクニックが必要

相手への質問の仕方にもコツが必要。追い詰めるような質問や配慮に欠けた質問は避けましょう。
例えば、婚活サービスに関するインタビューで「なぜあなたはまだ結婚できないのですか?」と直接的に尋ねてしまうと、相手は不快に感じ、心を閉ざしてしまうでしょう。
代わりに、「これまで婚活でうまくいかなかった経験について、差し支えなければお聞かせいただけますか?」といったように、相手の感情に配慮しつつ、寄り添う姿勢で質問することが重要です。




感情や表情など非言語情報も活用

言葉による回答だけでなく、その時の表情や声のトーン、身振り手振りといった非言語情報も、デプスインタビューでは重要なデータとなります。
例えば、ある話題になった時に、インタビュイーが急に口数が減ったり、表情が曇ったりしたとします。
これは、その話題が本人にとって何らかの感情的な意味を持っているサインかもしれません。
インタビュアーは、そのサインを見逃さず、「〇〇について、少し話しにくそうですが、何か思うところはありますか?」のように、優しく質問を重ねることで、言葉の裏に隠された真意に迫ることができます。



デプスインタビューのメリット

デプスインタビューは他の調査手法では得られない多くのメリットをもたらします。
ここでは、デプスインタビューがビジネスにもたらす3つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。



行動の背景がわかる

デプスインタビューは、顧客の行動の背景にある「なぜ?」を深く掘り下げることで、マーケティング戦略に直接活かせる具体的なメリットをもたらします。
アンケート調査のような表面的なデータでは見えない、顧客の本質的な動機や感情を理解することが可能です。

顧客インサイトから戦略を導き出せる

デプスインタビューは、顧客の行動や感情の奥にあるインサイト(本質的な洞察)を発見するための強力なツールです。
このインサイトは、単なる製品改善に留まらず、マーケティング戦略全体を再構築する土台となります。

顧客の「心の声」をマーケティングメッセージに反映できる

顧客が製品やサービスを選ぶ最終的な理由は、スペックや価格といった論理的な要素だけでなく、「このブランドは信頼できそう」「これを使えば自分はもっと良い状態になれる」といった、感情的かつ無意識的な動機に強く影響されます。
デプスインタビューで明らかになったこれらの「心の声」をマーケティングメッセージに盛り込むことで、顧客は「これは自分のためのものだ」と感じ、ブランドへの共感や愛着が深まります。



仮説検証と発見が同時にできる

デプスインタビューは、事前に立てた仮説を検証するだけでなく、予想外の新しい発見を得られるという点も大きなメリットです

仮説が外れた時に新しい気づきが得られる

「私たちのサービスは、料金の安さが一番の強みだ」という仮説があったとします。
デプスインタビューで、「料金の安さに魅力を感じた」という回答がなかった場合、仮説が間違っていたことになります。

しかし、その代わりに「担当者との二人三脚で活動を進められる点に安心感があった」という意見が多く見られた場合、それは新しい発見です。
この発見は、単に料金を訴求するのではなく、「手厚いサポート」を強みとして打ち出すという、新しいマーケティング戦略のきっかけになる可能性があります。

このように、デプスインタビューは、単なる仮説の正否を確かめることができます。
さらに、事業やサービスを前進させるための新しい視点やアイデアをもたらしてくれる、非常に価値の高い手法なのです。



デプスインタビューのデメリットと注意点

デプスインタビューは、顧客の深層心理に迫る強力な手法ですが、万能ではありません。
実施にあたっては、そのデメリットや陥りがちな落とし穴を事前に理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

ここでは、デプスインタビューの主なデメリットと、成功に導くための注意点について解説します。



時間とコストがかかりがち

デプスインタビューの最大のデメリットは、時間とコストが他の一部の調査手法に比べてかかりやすい点です。
具体的に時間とコストについて解説します。

リクルーティング・謝礼などの費用目安

質の高いインタビューを行うためには、調査目的に合致した対象者を丁寧にリクルーティングし、十分な時間を確保する必要があります。
リクルーティングには、専門業者への依頼費用や、対象者への謝礼が必要です。

謝礼の金額は、インタビューの内容や所要時間、対象者の専門性によって大きく異なりますが、一般的には1時間あたり5,000円〜15,000円程度が目安となることが多いでしょう。
また、インタビュアーの人件費や、会議室などの会場費も考慮に入れる必要があります。



インタビュアーのスキルに依存してしまう

デプスインタビューの成否は、インタビュアーのスキルに大きく左右されます。
単に質問項目を読み上げるだけでは、深い洞察を得ることはできません。

良い質問例と悪い質問例(比較表)

インタビューのやり方で結果が変わってしまうことがわかりやすいように、悪い質問と、対応する同じ意図の良い質問を表で比較してみてみましょう。
並べて比較してみることで、インタビューの仕方で答えやすさ、意図の引き出しやすさの差がわかるはずです。

悪い質問例 良い質問例 解説
「このサービスは使いやすいですか?」

このサービスを初めて使った時、どんな印象でしたか?」

「はい」「いいえ」で答えられる質問は、回答を限定してしまいます。具体的な体験や感情を尋ねることで、より豊かな回答を引き出せます。

「どんな時にこの商品を買いたいと思いますか?」

「〇〇だった時、この商品を使いたいと思いますか?」

漠然とした質問は、漠然とした回答につながります。具体的なシーンを想定して質問することで、思考や感情をより深く引き出すことができます。

「このサービスに満足しましたか?」

「このサービスを使って、一番良かったと感じたのはどんな点ですか?」

相手の回答を誘導してしまう可能性があります。「最も良かった点」を問うことで、ポジティブな体験を具体的に語ってもらいやすくなります。

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あくまで少数意見でしかない

デプスインタビューは少数のサンプル(5〜10人程度)で実施されることが多いため、得られた意見が全体を代表するものではないという点を常に意識しておく必要があります。

ある特定のインタビュイーが熱心に語った意見が、実は全体から見ればごく少数の意見に過ぎない、というケースも少なくありません。
分析の際は、すべての意見を同等に扱うのではなく、複数のインタビュイーに共通して見られたパターンや傾向に注目することが重要です。
他の調査手法(アンケートなど)で得られた定量データと照らし合わせることで、より客観的な結論を導き出すことができます。



【失敗例】ありがちな落とし穴

インタビューを実施する前に、失敗例も具体的に把握しておきましょう。
デプスインタビューでよく見られる失敗例を事前に知っておくことで、本番でのパフォーマンスを向上させることができます。

誘導尋問になってしまう

インタビュアーが「うちのサービスはきっと良いと思われたでしょう?」などと、自分の仮説や都合の良い回答に誘導してしまうことがあります。
これは「アンカリング効果」と呼ばれる心理現象を引き起こし、インタビュイーの回答を歪めてしまう原因となります。
インタビュアーは、特定の結論に導こうとするのではなく、あくまでも中立的な立場を保ち、インタビュイーが自由に語れる環境を整えることが大切です。

自分の仮説に固執してしまう

「きっとこういう理由でこの行動をとったに違いない」と、事前に立てた仮説に固執してしまうのも危険な落とし穴です。

デプスインタビューの目的は、仮説の正しさを証明することだけではありません。
むしろ、仮説が外れた時にこそ、新しい発見や洞察が得られることも多いのです。
インタビュイーの言葉に耳を傾け、時には自分の仮説を一度手放し、予想外の答えにも柔軟に対応する姿勢が、成功への鍵となります。

デプスインタビューは、実施にかかる労力やコストが大きい一方で、質の高いインサイトを得られる非常に有効な手段です。
これらの注意点を意識して計画を進めることで、より価値のある成果を得ることができるでしょう。



成功するデプスインタビューの4ステップ

デプスインタビューは、事前の準備が成功の鍵を握ります。
やみくもにインタビューを始めても、望む成果は得られません。
ここでは、デプスインタビューを効果的に進めるための4つのステップを解説します。



Step1:調査目的と仮説の明確化

デプスインタビューを始める前に、まず「何を知りたいのか?」を明確にすることが重要です。

調査目的の明確化: 新規サービス開発のため?既存サービスの改善のため?それとも、顧客の潜在ニーズを探るため?目的を明確にすることで、どのような対象者を選び、どんな質問をすべきかが定まります。

仮説の設定: 調査目的を達成するために、あらかじめ仮説を立てておきます。「ユーザーはAという機能に不満を感じているはずだ」といった仮説を立てることで、インタビュー当日に何に注目すべきかが明確になります。

このステップを丁寧に行うことで、インタビューの方向性が定まり、効率的に進めることができます。



Step2:質問設計と「問いかけの技術」

目的と仮説が定まったら、それを検証・発見するための質問項目を設計します。
質問は、単なる質問リストではなく、会話の流れを意識した構成にすることが大切です。

段階的な質問構成:

導入: 緊張を和らげるための簡単な自己紹介やアイスブレイク。

  1. 現状の把握: 対象者の行動や経験について、客観的な事実を尋ねます。「最近、〇〇を利用しましたか?」
  2. 深掘り: なぜその行動をとったのか、その時にどう感じたのかなど、思考や感情を掘り下げていきます。「その時、どのような気持ちでしたか?」
  3. 未来の探索: 理想の状態や、将来への期待について尋ねます。「もし〇〇が改善されたら、どうなりますか?」

「問いかけの技術」: 質問する際には、相手が自由に話せるように工夫します。
オープンクエスチョン: 「はい」や「いいえ」で答えられない質問(例:「なぜそう思いましたか?」)を心がけ、相手に詳しく語ってもらうように促します。
「具体的に」を促す: 「具体的には?」と問いかけることで、漠然とした回答をより深く掘り下げます。



Step3:対象者選定とリクルーティング

インタビューの質は、対象者の質に大きく左右されます。調査目的に合致した、適切な対象者を選定することが不可欠です。

ターゲット層の絞り込み: 「新しく家を建てたい人」といった漠然とした括りではなく、「初めてのマイホーム購入を検討しており、デザイン性と機能性を両立させたいと考えている30代夫婦」のように、より具体的なペルソナを設定します。

リクルーティング方法: 知人・友人から紹介してもらったり、SNSで募集したり、専門のリクルーティング会社に依頼したりと、さまざまな方法があります。目的と予算に応じて最適な方法を選びましょう。



 Step4:当日の進行と信頼構築

インタビュー当日は、質問に沿って進めるだけでなく、インタビュイーとの信頼関係を築くことに注力します。

アイスブレイクの例

インタビューを始める前に、まずは緊張を解きほぐすための時間を設けます。
天気や最近のニュースなど、当たり障りのない話題から始める。

「今日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。リラックスしてお話しください」と、感謝と安心感を伝える。
「このインタビューは、〇〇さんのご意見を伺うためのものです。正解はありませんので、率直にお話しいただけると嬉しいです」と、心理的なハードルを下げる。

深掘り質問の流れ

インタビュー中は、以下のようなテクニックを使って、会話を深めていきます。

  1. 相手の言葉を繰り返す: 「〇〇と感じられたのですね」と、相手の言葉を繰り返すことで、共感を示し、さらに詳しく話してもらうよう促します。
  2. 沈黙を恐れない: 相手が考えている時に、焦って次の質問を投げかけないようにしましょう。適度な沈黙は、より深い思考を引き出す機会となります。
  3. 「なぜ」を繰り返す: 「なぜそう思いましたか?」を繰り返し問いかけることで、表面的な理由のさらに奥にある真の動機に迫ります。ただし、相手を問い詰めるような口調にならないよう注意が必要です。



得られたデータの分析と活用法

デプスインタビューは、実施すること自体が目的ではありません。
得られた定性データをいかに分析し、事業やマーケティングに活かすかが、その真価を問われる部分です。
ここでは、デプスインタビューで得られたデータの分析手法から、具体的な活用法、そして成果を最大化するためのレポート作成のコツまでを解説します。



定性データの基本分析手法

デプスインタビューで得られるデータは、数値化できない言葉や感情の記録です。
これらのデータを客観的に分析するためには、一定の手法が必要です。
最も基本的な分析手法は、以下のステップで進めます。

  1. 逐語録の作成: インタビューの録音を聞き返し、一言一句すべて文字に起こします。これは地道な作業ですが、非言語情報(声のトーン、感情など)もメモしておくことで、より深い分析が可能になります。
  2. コーディング: 逐語録の中から、重要な発言やキーワード、特定の感情を示す部分などに、ラベル(コード)を付けていきます。例えば、「料金に対する不満」という発言に「価格_ネガティブ」といったコードを付与します。
  3. 分類・テーマ抽出: 付与したコードをグルーピングし、共通するパターンやテーマを見つけ出します。例えば、「価格_ネガティブ」「サービス内容への不安」といったコードをまとめて「サービス利用への障壁」といった大きなテーマに分類します。

このプロセスを通じて、一見バラバラに見える個々の意見の中から、顧客に共通する潜在的な課題やニーズ(インサイト)を浮かび上がらせることができます。



インサイトを事業やマーケティングに活かす方法

デプスインタビューで得られたインサイトは、ビジネスのさまざまな場面で活用できます。

新サービス開発への落とし込み

例えば、家庭で料理をする人へのインタビューから、「レシピサイトの情報が多くて、どのレシピを試せばいいか迷ってしまう」という共通のインサイトが見つかったとします。
これは「自分のスキルレベルや好みに合ったレシピを、効率的に見つけたい」という潜在ニーズです。
このインサイトを活かし、ユーザーの調理経験や好きな食材をAIが分析して、最適なレシピを提案するパーソナライズされたレシピアプリを開発するといった具体的なアイデアへと落とし込めます。

既存サービス改善事例

既存の結婚相談所の利用者インタビューから、「担当者との面談が毎回緊張する」「自分のペースで活動したいのに、連絡が頻繁に来てしまう」といった声が多く見られたとします。

これは「担当者との関係構築の改善」や「連絡頻度を顧客が選択できる機能」といった、既存サービスの改善に直結する重要なインサイトです。顧客の不満や課題を解消することで、サービスの満足度を向上させ、継続的な利用を促すことができます。



成果を最大化するレポート作成のコツ

分析結果を関係者に共有するレポートは、単なる事実の羅列に終わらせては意味がありません。

結論から先に書く: 最も伝えたい「インサイト(=顧客の本質的な声)」と「そこから導き出される示唆」を冒頭に簡潔にまとめます。
生の声を入れる: 抽象的な分析結果だけでなく、インタビュイーが実際に話した印象的な「生の声」を引用することで、レポートの説得力が増し、読み手の共感を呼び起こしやすくなります。
アクションプランを提示する: 最終的に、このインサイトを活かして「次に何をすべきか」という具体的なアクションプラン(例:サービス機能の追加、ウェブサイトの文言修正など)を明確に提示しましょう。

デプスインタビューは、深く掘り下げたインサイトを事業に活かすための第一歩です。
適切な分析と活用を通じて、顧客に本当に価値ある体験を届けるための強力な羅針盤となるでしょう。



インタビューには謝礼選びも重要

デプスインタビューを成功させるためには、質問設計やインタビュアーのスキルだけでなく、協力してくれるインタビュイーへの配慮も欠かせません。
その代表的なものが「謝礼」です。

謝礼は、単なる「お礼」ではなく、調査の質に直結する重要な要素となります。
ここでは、謝礼の選び方とその重要性について解説します。

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魅力的な謝礼で参加意欲が高まる

デプスインタビューは、インタビュイーにとって、時間と労力を要する協力です。
特に、自身の個人的な経験や感情を話すことは、精神的な負担も伴います。
そのため、調査への協力をお願いする際には、その労力に見合った適切な謝礼を用意することが重要です。

謝礼が魅力的であるほど、参加者はインタビューに積極的に協力しようという意欲が高まります。結果として、より深く、率直な意見を引き出しやすくなります。
また、謝礼は、調査への参加を検討している人にとって大きな動機付けとなります。特に、リクルーティングが難しいターゲット層の場合、魅力的な謝礼を設定することで、協力者を見つけやすくなります。



対面インタビューにはQUOカードがおすすめ

対面でインタビューを行う際の一般的な謝礼として、QUOカードが多く選ばれています。
選ばれる理由は、コンビニや書店など身近な店舗で幅広く使え、受け取った方が使い道に困ることが少ない汎用性の高さからでしょう。
また、現物として直接手渡せるため、感謝の気持ちが伝わりやすく、協力してくださった方にも物理的な価値を実感してもらいやすい点も大きな魅力です。

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オンラインインタビューならQUOカードPayがおすすめ

オンラインでインタビューを実施する機会が増えている昨今では、QUOカードPayのようなデジタルギフトも選ばれています。
URLをメールやチャットで送るだけで簡単に謝礼を渡せるため、遠方に住むインタビュイーや、対面でのやり取りが難しい場合に便利です。
また、スマートフォン上で管理できるため、商品券などと違い持ち歩く必要がなく、受け取った側の利便性が高いこともメリットです。

謝礼を選ぶ際には、インタビューの形式(対面かオンラインか)だけでなく、ターゲット層のライフスタイルやニーズに合わせて検討することが大切です。
インタビュイーへの配慮は、最終的に調査の質を高めることにつながるため、謝礼選びもデプスインタビューの重要な準備のひとつとして捉えましょう。

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まとめ|デプスインタビューは「深く知る」ための最強手段

デプスインタビューは、顧客の行動や感情の奥にある「なぜ」を深く探る、強力な調査手法です。
アンケートやグループインタビューでは得られない、個人の本音や深層心理に迫ることができます。

時間やコスト、インタビュアーのスキルといったデメリットはありますが、その見返りに、ビジネスを成長させるための貴重なインサイト(潜在ニーズや本質的な課題)を得られます。

得られた定性データは、新サービス開発、既存サービスの改善、そして効果的なマーケティング戦略の策定に欠かせません。
顧客に本当に価値ある体験を届けるためにも、デプスインタビューを「顧客を深く知るための最強の手段」として活用しましょう。



公開日:2025年12月01日

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